鳥取県若桜町落折集落でのワサビ栽培による活性化〜平家部落800年の眠りから目覚める里おこし〜
鳥取県八頭郡若桜町は鳥取県東端に位置し登山やスキーなどの観光を主産業とする1328世帯,人口3,089人(平成2年5月現在)の町です. 同町の最東端には,兵庫県と接する落折地区があり,13世帯38人が在住し豊かな自然環境の中で生活を営んでいます.地区の全世帯が平家姓であり,源氏から追われた平経盛が隠遁生活を送ったと伝えられる洞窟もあり,自然と歴史・文化の町でもあります.
落折地区の集落を落折川に沿って上流にのぼりますと平経盛公が源氏の追手を逃れて隠遁したとされる洞窟があり,さらに上流に登りますと,耕作エリアがあります.かつて美しい棚田であったろうと思われますが,その多くは耕作放棄となっています.現在,落折地区では,前区長が,茅に覆われた耕作放棄地を元の棚田に戻そうと懸命に茅を掘削し,大根,蕎麦そしてエゴマ栽培に取り組んでいます.プロジェクトの最初の取り組みとして畑ワサビの栽培をスタートしました.畑ワサビは,静岡県や島根県で活発に作られており地域ビジネスの核となっています.特に,静岡県では富士山や南アルプスの中山間地が産地となっており,栽培面積は約128ヘクタール、生産量は約238トン、産出額は26億円となっており,関東や関西の市場で高級食材として取引されています。ワサビ産地の静岡県から,1500本の苗を購入し,平家前区長さんとプロジェクトメンバーで開墾され棚田と地区内の畑地に植え付けを行いました.